どーも、最近交通系かスマホ系の記事ばかり書いている男……
得意なことばかり書いているというか、いろんなことを書いているとブログの方向性迷子になるのでこんなことになっている。
去年日本通信という会社がドコモに対して文句をいいました。簡単にまとめると
「格安SIMの原価もうちょい下げてよ、下げれるやん」
格安SIMは大手キャリアなどから回線設備を借りてサービスを運営している。
著者が初めて格安SIMを契約した頃に比べればいわゆる原価、つまり大手キャリアに支払う使用料はだいぶ安くなっている。
それは実際に我々が支払う月額料や使えるパケット量からもわかる。
しかし近年は原価の下降率がずいぶんと鈍化してあまり代わり映えのしない価格に止まっている。
普通に材料を仕入れて加工する産業よりも、大手キャリアへ支払う使用料が支出の大半を占めるだけにここが安くならないとサービスに変化が起こらない。
という経緯があって日本通信は安くしてくれとごねたが、もちろんドコモは拒否した。なので仲裁を総務省に任せて先日その結果が出た。
というわけで今回はその裁定の内容から今後の格安SIMの見通しを解説しよう。
もくじ
今の格安SIMにはないもの
現在の格安SIMサービスにはかけ放題サービスがない。
厳密には特別なアプリや特殊な発信方法を使わずにかけ放題になるサービスがない。
どうしてこうなっているのかは非常に簡単で、回線の使用料の問題だ。
データ量(パケット)は契約している量を超えれば制限をかけてしまうことで、支払っている金額以上のものを使われることはほぼない。
ただ電話となると公衆電話のように入れたお金がなくなったタイミングで通話を切断するなんてことをすると利用者から不評をかうだろう。
なので電話は従量課金、使った分だけ課金する方式にせざる得ない。
今回日本通信はこの現状のシステムでは導入できない、かけ放題などのサービスを格安SIMでも導入できるようにしてほしいとの陳情を出した。
その結果
総務大臣からの答申で現状かけ放題サービスは提供しない
答申、まぁごねた結果総務大臣が仲裁に入った結果、総務大臣が日本通信とドコモの言い分を聞いて裁定を下した。
その結果、現状大手キャリアが提供するような定額かけ放題サービスはドコモ側が原価オーバーで損をすることが目に見えているので却下ということになった。
通常であれば2000円程度の通話をすれば2000円の通話料をユーザーは支払い、ドコモはその分だけ収益を得られる。
だが完全定額制のかけ放題にすると2000円分の通話をしても定額料金分しかユーザーは支払う必要がなく、ドコモも定額の分だけしか得ることができない。
大手キャリアが完全定額制かけ放題を導入している理由
ユーザー層が違うと同じサービスであっても利用率が全然違う。
嫌な言い方をすると大手キャリアが完全定額制かけ放題を導入できる理由は「使いもしないのにつけている人間」がいるからだ。
月額課金制のサービスとかと同じでゴーストユーザーと呼ばれる使ってないけどお金は払ってくれるユーザーのおかげでハードユーザーが信じられないほど使っても大手キャリアは損しないのだ。
そもそも通話をめちゃくちゃ使う人はビジネス利用の場合が多く、個人利用の多くはLINEや他の通話アプリで代用が可能だ。
しかもビジネス利用はそれで会社用の携帯を持っていたり、法人用プランを契約していたりするのでそもそも個人に完全定額制かけ放題サービスはそこまで必要ない。
ではなぜ必要ではないのにそんなサービスがあるのか。
それは簡単でキャリアが儲かるからだ。仕組みは先ほども言ったゴーストユーザーが増えれば増えるほどキャリアが得する仕組み。
はっきり言って携帯キャリアのビジネスモデルはユーザーにとって優しいものではない。
ずいぶんとマシにはなったがそれでもやはりauやソフトバンクはユーザーへの配慮が少ない。ドコモはかなりマシだ。
正直日本通信が今回このような仕組み上どう考えても覆らない文句を言ったのは一重にサブブランドの影響と言っていい。
サブブランドは市場を歪めている
サブブランドとは大手キャリアであるauとソフトバンクがやっている格安SIMサービスだ。
なぜ市場を歪めていると断言できるかというと、明らかに他の格安SIMにはできないサービスをやっているからだ。
例えばサブブランドには共に完全定額制と準定額制のかけ放題オプションがある。
ソフトバンクがやっているワイモバイルに関しては準定額かけ放題がそもそもひっついているくらいだ。
先ほども言ったように完全定額制かけ放題サービスは大手キャリアがどうあがいても原価で損をする仕組みになるので導入できないと言った。
しかしサブブランドはこれを提供できている。
これが市場を歪めている根幹かつ原因だ。
auやソフトバンクそれぞれがやっているサービスにだけ完全定額制かけ放題サービスを提供して、他の格安SIMサービスには提供しない。
明らかに自社サービスを優遇して正常な競争を妨害している。これはずいぶん前から問題になっているが今のところなんの是正もされない。
サブブランドはその存在が「大手キャリア(自社)から格安SIMへ逃がさないため」という使命を帯びている。
なので大手キャリアとほぼ同じ使い心地で提供する必要がある。
実際、auからサブブランドのUQにいってかけ放題を使われても利益自体は変わらない。オプション料金まで全部同じだからだ。
逆に格安SIMで同じことをやられると、そもそもシビアな金銭感覚を持っているからそこへ行ったのだろう。そこでかけ放題を使うということはよほど電話をするのだ。
間違いなく大手キャリアの赤字にしかならない。
むしろ大手キャリアを辞めると言っている人にサブブランドをすすめてついでにかけ放題もうまいこと言ってつけさせると、それみたことか、ゴーストユーザーの完成だ。
そして適当なタイミングで「この料金だったら元のau(ソフトバンク)でも変わりませんよ」と言ってしまえば、また元どおりの金の成る木に戻るというわけだ。
そしてそこでも姑息なのがワイモバイルを擁するソフトバンクだ。
サブブランドにするとシンプルに利益率が下がる分、客単価をなんとかして保つために半年だけ無料にしてあとは絶対に外せない準定額かけ放題を強制的に課金させ続ける。
完全かけ放題は単純に多く電話した分だけで定額分を回収できるが、準定額は5分なり10分なり定額になる範囲が決まっているので回収するのが難しい。
逆にキャリア側にとっては定額内で何度も電話をされては迷惑だが、長電話をすればするほど儲かるのでわりかし損をしない。
その分たしかに完全定額制よりは料金は安くなっているが、ずいぶんとせこいシステムなのだ。
格安SIMの月額はちょっと下がるかも
今回の答申でかけ放題サービスの導入は認められなかったが、大手キャリアが格安SIM事業者に対して適切な原価と利潤を乗せた金額で卸すように言われている。
直接安くしろ、とは言っていないが原価が下がっているんだったらその分は卸金額に反映させろと言った。
確定とは言えないが今後は惰性的な金額がつづくことはないだろう。
ただこのご時世だ。原価が今更上がることは考えにくいが万が一上がった場合には格安SIMの月額料金も上昇してしまう可能性がある。
結論:楽天モバイル殺しに躍起になっている間に格安SIMは盛り返せるか
キャリアサービスに進出した楽天モバイルの損益分岐ラインは700万回線だそうだ。
格安SIMサービスの損益分岐ラインが100万回線と言われているので、その7倍以上のユーザーを獲得しないと赤字で撤退という始末だ。
さてそんな前途多難な楽天モバイルだが、サブブランドは料金帯が近いこともあって包囲網を作りつつある。
今までサブブランドの使命は対格安SIM戦だったが、現在は楽天モバイル殺しへ向いている。
この間にもっとユーザーにとって利益をもたらすサービスを提供できるかが、格安SIMが生き残るかどうかの瀬戸際だろう。
今後のサービス展開に注目したい。
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